藤の花

                          花   藤

                        花器  新羅須惠器壺

 

        枝の絡みあった藤棚から、藤色の花房がいろよく長く
       垂れ下がり、当たり一面をほのかな芳香で満たしており
       ます。なんとも艶やかな風情です。

        私も若かりし頃日本舞踊をたしなんでおりまして、長唄
       「藤娘」の中の藤音頭を良く踊りこんだものです。

          藤の花房 いろよく長く
          可愛がろとて 酒買うて のませたら
          うちの男松に からんでしめて てもさても
          十返りという名のにくや かへるという 忌み言葉

          はなものいわぬ ためしでも
          知らぬそぶりは ならのきよう
          松にすがるも 好き好き
          松にまとうも 好き好き
          好いて好かれて はなれぬ仲は ときわぎの
          たち帰えらで きみとわれとか
          おお嬉し おおうれし